死にたいと、思った事などない。





















花(エドVer)





















訳の分からないうちに、捕まって。
抵抗するうちに腹を殴られて、気絶させられた。

次第に落ちてくる瞼から見えた世界が歪んで見えたのは、きっと自分が倒れ落ちていたからだ。









次に目を開いた時、視界に入った死に一番近い所、収容所だった事に不思議に自分は驚いていなかったと思う。
軍人に捕らえられた時点でそれは予想できる事だったし、もしかしたら目が覚めたばかりで、それを現実と見ていなかったのかもしれない。

何度か瞬きして、クリアになっていく視界。

それによって目に入ってくる現実は、自分が想像していたよりも酷かった。
誰一人として喋る者は居らず、壁に背を凭れ掛けている男。
人形のように動かない小さな子供を抱きかかえてきつく目を瞑っている女。
目は皆、廃人のように虚ろで。
それを見て、自分も生きてはいられないだろう、そう理解した。




ふと、感じた視線。



扉の向こうに、黒い髪が見えた。
着ている服からして、軍人。髪の短い、整った顔。

きっと、彼が自分を殺す。

直感でそう感じた。勘は良い方だから、外れはしないだろう。
そう考えると、彼の顔をちゃんと見たくなった。
此方を向かないかな、そうぼんやりと考えていると、部屋の中を見渡していた視線が、止まった。






視線が交差する。







彼の顔を正面から見れた事が嬉しかった。
真っ直ぐに見た彼は、予想通り綺麗な目をしてた。
それを見る事が出来て、自然に笑みが漏れる。

それまで人形のように動かなかった彼の目が、驚いたように開かれるのを見て、更に満足感を得て笑みが深まった。












部屋を移動する時に、ふと思い出した彼の顔。


見つけてくれればいいな。


そう考えて、耳にかけられていた花を、残した。






あとに残ったのは、たった一つの小さな花。




















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本来ならば、エドワード腹黒で行く予定だったのですが、それも面白くないので乙女でGOです(笑)
メールにて「花」が好きだと仰ってくださったてりあん様に奉げます。
(奉げるくらいならばメールの返信をさっさと済ませろという話ですが)
色々病んでるので、死にネタ大好きです(逝ってこい)