「なぁー…。」
エドワードが気だるそうにロイを見上げた。








全力を尽くして己の船を進めねばならぬ。
――ダンテ「神曲 煉十二歌」









二人がいるのは、ロイの部屋のベットの上。
エドワードの体には所有の印が、シーツには情事の跡が色濃く残っていた。

「何だい?」
起き上がる気力もおきないエドワードの金の髪を梳きながら、ロイはベットの端にかけていた。

「大佐は、余命一年って言われたら何すんの?」

よっ…とうつ伏せからロイのほうに体を向けて、エドワードが問うた。


何かを成し遂げるにはあまりに短い、だが時が過ぎるのを待つには長すぎる、一年と言う時間。


そうだな、ロイは暫し考えて。
「旅でもしようか。」

ロイの答えに、エドワードが訳が分からない顔をする。
「…何で旅」
「君と二人で。色々な所に行って、思い出作りでも、と思ってね。」
「大総統はいいのか?」
その為に軍にいるんだろ。
「最期まで、軍にいても何ら楽しくは無いだろう。」
何とでも内容に言うロイにエドワードは、溜息。

「何か聞いたオレが馬鹿だった、気がする…」

エドワードの誘いに、ロイが肯いた。

「そうだとも。生きているうちにあれこれやっても結局は無くなる物ばかりだ。」
「えらく虚無的だな。」
そうかもしれないな、そうロイは苦笑して。

「…だがね、鋼の。どうせ無くなるのならば証を残しておきたくは無いかね?」

横になって優しく髪を梳くロイの表情はエドワードの前でのみ見せる、それ。
その手の感触にエドワードはくすぐったげに瞳を細めて。
「だから、旅?」
「あぁ。」
探す旅ではなく、得る旅を、…二人で。


「それも、いいかもな。」


「その時はまたお付き合いをお願いするよ。」

ロイの少しからかいの含まれた誘いに、エドワードは笑んだ。






「こちらこそ。」














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ギャグにしようと思ったんです、ハイ。一体私は何を間違ったんでしょうか。
基本的には私は死ぬ為の努力はしないので、まぁ。人間死ぬ時は死ぬ。てな感じです。結構投槍。
鈴女様、こんなので宜しいでしょうか?(笑)
文句、受け付けます(何)
因みにBGMは坂本真綾。姫、MDありがとうvv3月16日は好きです(関係なし)