「だって、わたしが愛してるのはマッペなんだもの。」
こうして、再び猫が取り換えられたのだった。





「…何これ。」
「トーベ・ヤンソン著、少女ソフィアの夏。」
エドワードの問いに、ロイは平然と、それで居て機械的に答えた。









愛の最初の兆しは英知の終わりである。
―――「断片」より ブレ












「質問を訂正する。何であんたに頼んだ錬金術書の中に文芸作品が交ざってるんだ?しかも、かなり部分的なところだけが。」
「たまには読書も良かろう。」
あのなぁ…とエドワードは拳を握り締めた。

「ところで鋼の。それを読み終えたかい?」
「読んだよ…。それが、どうかしたのか?」
ロイの問いに怒る気力も失せてしまい、エドワードは脱力して答える。

「何故だと思う?」
「…主語を入れて話せ。」
「あぁ、すまない。なぜ、ソフィアはスヴァンテでは無くマッペを選んだのだと思う?」
真剣な顔をしたと思えば、何を言うんだこいつは…、とエドワードは思ったが、何だか反論するのが面倒になり、取りあえず問いに答えるために考える。

「…嵐のほうが好きだったんだろ。」
穏やかな海よりも、荒くれる海が。

「ほう。」
「何だよ。」
「ソフィアが望み選んだのはスヴァンテだっただろう?」
「最後に取ったのはマッペだろ。」
最早相手をするのもあほらしい、とエドワードはソファに座って読書を始めた。

「大切なものなんて、無くなってからじゃないと気付かないんだ。」

ぼそりと呟かれたエドワードの言葉にロイは

「そうだろうね。」

そう、返すだけ。



「でもね、鋼の。」
ん?と顔を上げた途端いつの間にか傍に近付いていたロイの唇と共に降りてきた言葉にエドワードは、

「そうだな。」
そう呟いて目を伏せた。





―――――そこにあるから大切だと、そう思えるものもあるのだよ。


















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それは愛。
と一人で考えて爆笑してましたゆいです(危ないから)
エドワードが15歳だと言う事で、中学校三年生の国語の教科書引っ張り出して来ました。
お話知らないと全く意味の分からない話ですね(汗)
中学生のきょうだい、子供、知り合い、親戚...(もう良いよ)がいらっしゃる方は是非教科書を読んでみてください(きっと今もあるはずです)
最近の教科書には色々な話があってて面白いです。