『最近、ずっと誰かにつけられてるんだ。』 久しぶりの電話の内容がかの人の身体の心配をさせるには十分な物だった。 追尾1.5
「――つけられるいる?」 『そう、一週間くらい前から何だかおかしいな、と思ってさ。アルと一緒ならそれほど気にはならないんだけど、一人で歩いてたりするとさ…』 語尾を濁したエドワードらしくない話し方に、ロイはだからこそより一層心配になる。 この気の強い少年をここまで追い詰めているのならば、事態は深刻だ。 「一度、こちらに戻ってきなさい。」 『分かった。』 珍しく、少年は素直に肯いた。 「兄さん、大佐は何て?」 「一度、戻って来いってさ。」 「そうだね、僕もその方がいいと思う。」 アルフォンスは心配そうに兄を見下ろす。 エドワードの顔に浮かぶのは軽い憔悴。何かをされるわけではなく、ただずっと見られている。 それがただの好奇の視線だったならば慣れのお陰でさほど気にはならないのだが。 そこまで考えてアルフォンスは内心、顔を顰めた。 ――あれは、そんなのじゃない。 もっと、ねっとりとしていて絡み付くように、エドワードの動作一つでも見落とすまいとでもしてるかのような、欲の篭った目。 アルフォンスはこれ以上、兄をあの視線には晒させたくは無かった。 「じゃぁ、大佐のお許しも出たし、早く行こうよ!」 場違いなほどに明るい声で言ったのは、兄を元気付けるだけではなく何も出来ない己への叱咤が込められていた。 ------------------------ この小説は『追尾1.5』と、ネタ帖にはあるんです。 1とか、0.5は何処へてな感じなんですが、無駄に長い恐らく長編が始まります。 多分続くはずなんですが、ま、その時々の私の心理状態で話が変わっていきますv(コラ) |