失礼しました、そしてお願いします、そう心中で呟いてアルフォンスは扉を閉めた。











追尾1.5-番外











「アルフォンス君?」

扉の前で溜息を付いた丁度その時に現れたのは、ホークアイ。

「あっ、ホークアイ中尉。こんにちは、お久しぶりです。」
「こんにちは、でも、どうしたの?」

二人で会釈しあって。
「何がですか?」

質問に首を傾げたアルフォンスにホークアイは「エドワード君」と声を抑えて言った。
「…中尉になら言っても良いと思うので、・……聞きますか?」
アルフォンスの言葉に、ホークアイはえぇ、と肯いた。





「多分、始まりは二週間前・…」
その後、ここではちょっと…と言葉を濁すアルフォンスにじゃぁ、と休憩室に移動したのだ。
今は皆、丁度仕事中で部屋を利用する人間は一人も居ない。

「二週間前、と言うことはエドワード君が女装したまま、暴れまくって誘拐犯を伸した、あれのすぐ後?」
「…えぇ、まぁそうです。で、どうやらあれを見ていた野次馬の中で兄さんを見て惚れちゃった人が居たらしくって…。初めは兄さんも僕も無視してたんです。オレが男だって事、相手もいずれ知るから大丈夫って、そう言うんで…。」
「…そう。」
「でも、その後、三日後くらいからです、兄さんの様子がおかしくなったのは。」

「何があったのかアルフォンス君も知らないの?」
え、と意外そうな顔をするホークアイにアルフォンスははい、と幾分か沈んだ声で呟く。
「だけど、大佐になら兄さんも言えると思ったので。」
言葉には哀切な響。


アルフォンスのその様子にホークアイは思わず鎧の姿を凝視してしまった。
「本当は、少し大佐に嫉妬してるんです。僕には言えない事を兄さんは大佐になら打ち明けられるから。」


「アルフォンス君...」
それは、エドワード君の兄としてのプライドだと、そう思ったがそれは同時に対等でありたいと願うアルフォンスの望む言葉ではないと理解し、ただ、名を呼ぶしか出来なかった。

「大佐が、兄さんを救えるなら、それで良いんです。でも、兄さんを傷つけるなら、大佐に兄さんはあげません。」
最後の言葉はまるで茶化してる空気があった。だが、アルフォンスの目に宿る光は、真剣そのもので。

「そうね…。」

自分の上司の前に立ちはだかるであろう、一番高い壁を目の当たりにし、ホークアイは楽しそうに――だが、アルフォンスからはそう見えないように――肯いた。










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ホークアイさんは灰色です。大佐をいじめたいだけです。
ホークアイさんもアルもエドが好きっていう話(分かんないから)