[十二振興超短編]
second,
「まだ起きていらしたのですか…」
月も沈もうかと言う刻限
「浩瀚こそ。私に何か用か?」
机に向かったまま、振り返ることも無く返された。
正直、下心が無かったと言えば嘘になる。
彼女の方でも、自分を待っていてくれるのではないか、と。
有りもしない望みから宮廷の散歩をしていた。
星ばかりが明々と輝く中、地上にも明かりを見つけたので足を向ければ。
思っていた相手が、ただ一人黙々と仕事を片付けていた。
「主上、仕事熱心なのはよろしいですが、あまりこんを詰めすぎるとお体に障りますよ」
この言葉に、陽子はやっと筆を置き、浩瀚と向き合う。
「『主上』じゃなくて『陽子』じゃないのか」
柔らかな笑みとともに。
思いを伝えた際、返事として与えられた言葉は、
『恋人として会うときは名前で呼んでくれ』だった。
「それでは陽子、少しは休みを取りなさい。」
自分との時間も、とは言えない。それを言えばまた陽子が無理をするだろうと解っているから。
「ああ、わかってる。 ただ、これが終わってからな」
「しゅっ……陽子、」
そんな反応に、陽子はくすくすと笑う。
一度言い出したら聞かないと言うことは、出会ってからすぐに知ることとなった。
言いくるめる言葉が無いわけではないのだが、それでは卑怯者になった気がする。
何処までもまっすぐな彼女を姑息な言葉で絡めとるようなまねはしたくない。
「……貴女のような人がが王ならば、この国は安泰ですね。」
ため息まじり。
喜ばしいこととわかりながらも、
自身の心は安泰ではないようだ。
「さぁ、どうだろう。」
浩瀚の心を知ってか知らずか、陽子は素っ気ない。
「例え王が仕事熱心でも、一歩間違えれば失道だからな。」
「ですが、仕事をしなければさらに失道は早いでしょう。」
もっと恋人同士らしい会話を、
思わないわけは無いのだが、気が付けばこういった話になってしまう。
「フッ…そうだな。ま、延王だって、遊び呆けてはいても仕事をしないわけではないし。」
小首をかしげながら、目を細めて。
かつての恋敵の名。
今はその影におびえることも無いはずなのに。
彼女の口からだされたそれに、少しばかり動揺してしまう。
嫉妬、の、感情は、
彼女を束縛したい思いを煽るばかり。
彼女自身が、それを意図して彼の名を口に上らせたのではないかと疑心暗鬼。
「私はね、浩瀚。」
名を呼び、片手でおいでおいでの仕草。
短いが、どうしようもなく遠く感じていた距離を移動した。
すぐ傍に立っている浩瀚を見上げて、陽子は続ける。
「今、仕事がすごく楽しいんだ。……楽しい、というのとは少し違うかな?充実している、というのとも違うけど。」
上目遣いに語られる其れは
「仕事をしていると、皆のために、私の民のために役立つことが出来る、っていう、自身って言うか、誇りというか。」
例え、前々から薄っすらと気付いていても
「だからね、浩瀚。」
非情
に
酷
で
出来ることならば
耳をふさいでなかったことにしたい
「今私は、民が一番なんだ。」
天使の声音で悪魔の言葉を紡ぐ
「だからね、浩瀚。」
最後の言葉を躊躇うほどならば、わざわざ伝えなくともよかったろうに。
伝えずにはいられない、
彼女のそんなところに惹かれた
自分、を
怨むわけにもいかず。
「浩瀚は、……二番目、なん、だ………」
申し訳なさそうに、沈んだ顔で言われてしまっては。
「そうですか。」
強張りそうになる顔に活を入れて、微笑みながら言う事しか出来なくなる。
「だからね、浩瀚。」
「もう少し、もう少しだけ我慢してて欲しいんだ。浩瀚のことを一番に考えられるときまで。」
日が昇ろうかという刻限
陽の名を持つ彼女は、悲しくも嬉しい言葉を聞かせてくれた。
世界を照らす太陽を我が物にした時、
世界は光を失い、朽ち果てるしかない。
貴女を求めることが、どれほど罪だろうとも。
それが我が身と、周りのものを滅ぼすことだろうとも。
望まずにはいられない。それがどれほど先のことでも。
だから、どうか。
それまでは
END
サツキ'sため息(本編より長いのでご注意を。)
『ねぇムーミン』な感じの陽子の同じセリフが続きすぎです。
超短編だったはずなんです。
夜中まで書くつもり無かったんです。
肩凝りから来る頭痛。
いっそう、どちらかを黒く出来たらどれほど嬉しかったことか。
確信犯で、閣下をぢらす主上。[牛馬の如く働く為に要るんだろ]とか言う。
主上の気持ちを判っていながら襲う閣下。[少しばかり休もうとも天帝のお怒りは下らないでしょう]とか言う。
ガッ、ってやったら(何ヲダヨ)すぐ終われそうじゃないですか。
でも誰もそんなの見たくないですよねvv
え、サツキですか?
ものっそい見たいですよ。えぇもう。例え後ろ指差されようとも。
どうせ変〇ですよっ!!
でもこれ以上黒い人増やしてドウスルンデスカ。
はてさて。
秋の夜長と申しますか、只単にサツキが寒いのが好きなだけなのか。
これからの季節は十二国な感じです。
十二国との出会いが冬だったせいか、寒くなってくると読みたくなる。
あぁ。あのころは若かった。
給油が面倒で、暖房器具の(動か)無い室内。
表じゃ雪も降ります。
そんな中、浴衣をでれ〜んと着て、毛布に包まり、ふるふるする指でページをめくる!!
十二国ですっ!
あぁ。あのころはヤバかった。
受験勉強に飽きたころ。
眠くなるからと、炬燵のコードを引っこ抜き、わざわざ体育座りで毛布に包まって。
数式を解いてたシャーペンでジョロジョロと二次を書くv
十二国だぁvv
そんなこんなで。
これから十二国記熱が再発するといいなぁ。
あ、遅くなりましたが、くらのかみ、八月下旬ごろ読みました。はい。トリブラの新刊買ったとき、店頭に並んでたんで、図書館で予約して借りて読みました。町立図書館万歳。町政、なんか不祥事多いけど、図書館作ってくれてアリガト。