[ 過去の遺物 ]






「アツイ、な。」

「?熱でもあるんじゃないんですか??」

そろそろ初雪かと言ったこの季節。尚隆が言ったのは気温のことでなく陽子の事だった。

「お前の事だ。熱心だな。」

名は体を表すとはまさにこの事で、紅く燃える陽子の髪は彼女の気性を表しているようだ。
「そうでもないですよ。やらないといけない事だから。」

尚隆は思う。
やらないといけないであろうことすらしていない、自分はどうなのかと。
自分でも冷めているとは思う。総てを投げ出してもいいかと思い、投げ出す事すらどうでもいいかと思うほどに。
それでも、目の前でこれほど熱さを、鮮やかさを見せ付けられては。
とうの昔に忘れたかと思う物を思い出させるだけでなく



魅せられ
惹かれてしまう




「頑張ってるぞ。」

そう言って尚隆は、陽子の髪を撫でる。





氷で出来た自分が陽子を抱きしめたとき、融けて流れ去ってしまうのではないかと恐れながら。
















小松は青、陽子ちゃんは赤なイメージですよね。(聞くな) 何の勘の言って、陽子に肩入れして破滅する感じしません?小松って。