[ 過去の遺物 ]










雨が降り始めた。



「あの日もこんなだったな。」

獣の姿をした彼が言う。

「薄暗い中、陽子の髪がやけに赤くて」

血溜りかと思ったぞ、と言う。

雨が降る。
ポツリポツリと

「放っておいたら、このまま色が抜けちまうんじゃないかと思って」

つれて帰ったんだ、と言う。

「そりゃぁ、その…なんだ……」

可愛いなとも思って、と言う。
 (この時、やたらと尻尾が揺れていた)



「と、とにかく」


逢えてよかった、と言う。
ありがとう、と言う。


どちらもこっちのセリフだと、言い返して。

滑らかな毛並みに顔を埋めた。








鼠だ・・鼠だ・・・・・


眠いです。
短い!!! 2003,11,27