[ 単発ギャグ+赤子+ ]
「やあ。調子はどうだい?」
窓から現れた男は、悪びれもせずに聞いた。
「調子?そんなのバッチリに決まってるでしょ!あたしを誰だと思ってるの。それより、ココはあ・た・しの、家なんだから、ちゃんと入り口から入ってきなさいよ!」
「まあいいじゃないか。君の家ということは、僕にとっても家みたいなモノだろう。」
少女の反論もどこ吹く風。男は少女の座った卓子に歩み寄り、腕に抱いていた包みをおいた。
「さっきそこで、お宅の麒麟に渡されたんだ。何でも、珠晶宛の荷物らしいよ。」
少女――珠晶の目の前に無造作におかれているのは、おくるみにくるまれた赤ん坊。
「・・・利広、コレって・・・・・・」
「あ、言っておくけど、僕はこれっぽっちも関わってないからね。」
利広はこの先起こるであろう事態に備え、弁明を行う。
「供麒に頼まれただけだよ。」
沈黙
「〜〜〜〜〜〜〜っっの莫迦麒麟!!何でもかんでも拾ってくるんじゃないわよっ!」
爆発。
その後、供麒は珠晶にたっぷりお説教を食らった。
珠晶曰く、「最後まで面倒見切れないのに、拾ってきたりしてどうするの」だとか。
別に、供麒が拾ってきたわけではないのだが供麒は言い訳もせずにうんうんとお説教を聞いていたらしい。
珠晶のはからいで、赤ん坊はきちんと恭国内の里家に預けられる事が決まった。
「珠晶は相変わらずだなぁ。文姫に良い土産話ができたよ。じゃあ、僕は顔を見せに寄っただけだから、この辺で失礼するよ。そうだ、頑丘に会うかも知れないけど、何か伝言でもあるかい?」
利広はひとしきり笑った後、何事もなかったかのように言った。
「頑丘?そうね。どこかの麒麟みたいに、手に負えないものを拾わないように言っておいてくれる。」
「はは。分かった。何処かで会ったら伝えておくよ。」
「捨て子・・・よね。」
利広の去った後、珠晶は一人つぶやく。
「・・はぁ。この国もまだまだなのかしらね。だとしたら、これからも頑張らなくちゃ。」
「とりあえず、」
ため息をつきつつ、珠晶は振り返る。
「供麒!花瓶なんて磨いてないで、仕事よ仕事っ!!」